仏画コラム
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52,三弁宝珠紋・八吉祥紋

高雄曼荼羅 吉祥寺本 金剛界 九会

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高雄曼荼羅 吉祥寺本 大悲胎蔵生

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吉祥寺本、高雄曼荼羅の表装裂地についての解説
弘法大師御生誕1250年を記念して制作致しました吉祥寺本、高雄曼荼羅の表装裂地につい
ての説明です。真言宗は、曼荼羅宗とも言われ弘法大師空海の請来本両部曼荼羅、あるい
は、高雄曼荼羅には特にこだわりをもつて取り組んでおります。曼荼羅の表装では、金胎両
部1874尊の諸仏が、仏の智慧を分有する。自心に仏を内包した行者は、自らの身体をもつ
て智慧の力を発揮させ、社会の中で利他を行う。総縁の三弁宝珠は、この即身成仏のプロセ
スを保証するものであると考えています。
三弁宝珠は、真陀摩尼(チンターマニ)と言い印度仏教における「何でも欲しいものを出現
させ与える」という効能を持つもので、舎利が如意宝珠に変ずる事は印度仏教以来の通念で
あり密教では、過去久遠の仏舎利が変じて如意宝珠になったとされています。
三昧耶形の三弁宝珠とは、三つの宝珠が集まった形で、宝生如来の三昧耶形で、伝統的な教
理学では、仏部、蓮華部、金剛部の三部、身、口、意の三密などを表わしています。
東寺様も令和5年は、立教開宗1200年を迎えられ10月には大法要が執り行われます吉祥の
年であります。
東寺様において1200年継続されている御七日御修法(みしほ)は、金胎両部によって修法
され、いずれも宝生如来の法ととらえ、種子、三昧耶形、印等も金剛界の宝生如来の修法と
同様に行じられる。胎蔵法においても同じ所作で臨み、宝菩薩を本尊として修法される。金
剛界の宝生如来は、悟りを開いた後の姿であり、その前身は胎蔵の宝菩薩であり、虚空蔵菩
薩と同体とされる。
最近知った事ですが、東寺の新東寶記によりますと、東寺講堂の立体曼荼羅の21体の彫像
が今なお当初の構成そのままに伝えられて居りますが、21体中、6体は1486年の土一揆で
焼失した後の再興像であり、他の像15体は当初のものです。仏像の頭部に、舎利袋裂地
(三弁宝珠)にそれぞれに舎利二粒、梵字真言、銅筒にて、その存在が✕線撮影にて確認さ
れた事です。これは注目すべき奇瑞であり、仏舎利奉籠の意味を重視し、空海の意図による
と考えられますので、改めて、仏舎利、三弁宝珠裂地の重要性を再認識させられました。お
そらく大智度論によりますと、舎利はただ物的側面が崇敬されるのではなく、智慧が薫修す
る事で初めて供養の対象になるという。奉籠の舎利は、仏像の頭部に込められることで、智
慧の意味が付加されると弘法大師空海は考えたようです。空海は請来目録にて、代々の師か
ら授かりし仏舎利は三国伝来のもので万世の帰依を受けるべきことを強調したわけです。東
寺講堂についての先行研究は、主に経典に基ずく教義との関係性の中で尊像構成の解釈が求
められ、この重要な舎利を諸像の意味や機能と結びつける議論は十分に展開されずにいま
す。又御室仁和寺の歴代の門跡の三弁宝珠の横被は、七條袈裟と共に、右肩を覆う役を担
い、御影(肖像画)が多数残されています。特に宇多法皇の御影は有名であり、東寺で伝法
灌頂を受けて阿闍梨となった門跡であつた。東寺との関係も深く、延喜21年(921)醍醐帝か
ら弘法大師の諡号が贈られている件、醍醐帝の勅には太上法皇(宇多)が空海を追憶してい
ることを主な理由にあげる。東寺の空海の御影では宇多法皇が、日日影向文を執筆された御
影が特に有名です。
吉祥寺様の寺名にちなんで八吉祥の正絹臙脂錦を京、西陣、中村佳弘社長様協力のもと制作
致しました。日本で八吉祥紋を制作した前例がなく、今回が初めての試みです。裂地巾に三
つ並びの三釜、一つ付の八吉祥紋です。八吉祥は、8つの吉祥模様の神聖な組み合わせのこ
とで、八寶、吉祥八寶、八吉祥紋とも言う。これらのシンボル、象徴、仏陀の悟りを得た心
相続を示すだけでなくこれらの悟った特質を荘厳する装飾であります。
1、 法輪~仏陀の教えを回転させ広める。
2、 法螺貝~仏陀の教えを遠くまで届ける。
3、 勝憧~仏陀が四人のラーマ、あるいは悟りに至るまでの障害に打ち克ったこと、降魔を象徴
4、 寶傘~悪しきものからの守護
5、 蓮華~泥の中から太陽を目指して花開く事から清らかさの象徴
6、 宝瓶~不死の甘露が讃えられる瓶
7、 金魚~(双魚)、世俗の海から精神的に解き放たれる自由の象徴
8、 吉祥紐~終わりのない愛と調和、広大無辺な慈悲の教え
上記順番は、中国仏教の順番であり宗教、宗派、習俗によつて順番が異なる事もある。
制作仏画  大進美術株式会社

大進美術 大日寺 真鍋博士

 

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