仏画コラム
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34,八大龍王
A-4(1)~(8)  1.6×4.2尺丈×8枚
八大龍王は天龍八部衆に所属する龍族の八王。法華経(序品)に登場し仏法を守護する。霊鷲
山にて十六羅漢をはじめ諸天、諸菩薩と共に水中の主である八大龍王も幾千万億の眷属の龍
たちと共に釈迦の教えに耳を傾けた。釈迦は妙法蓮華教の第二十五観世音菩薩普門品に遺さ
れているように観音菩薩の御働きを説いた.その結果、悟りを超える阿耨多羅三藐三菩提、無
上正等正覚を得て、護法の神となるにいたつた。古代インドではナーガという半身半蛇の形で
あつたが中国や日本を経て今の龍神の姿になつた。日本国内においては八大龍王の図は極めて
少なくほとんど目にすることがありません。本図像は、中国清朝6代皇帝、乾隆帝
(1735~1796)お抱えの宮廷絵師黎明(レイメイ)の描いた法界源流図より八大龍王を抜粋したも
ので、貴重な図である。
一般的に次の順に番号がふられている。
1. 難陀(ナンダ、なんだ - आनंद Ānanda)
訳:歓喜。難陀と跋難陀は兄弟竜王で娑伽羅(サーガラ:大海)竜王と戦ったことがあっ
た。『不空羂索神変真言経』(T1092)第十六章「広博摩尼香王品」にて。
2. 跋難陀(ウパナンダ、ばつなんだ - उपनन्द Upananda)
訳:亜歓喜。難陀の弟。難陀竜王と共にマガダ国を保護して飢饉なからしめ、また釈迦如
来の降生の時、雨を降らしてこれを灌ぎ、説法の会座に必ず参じ、釈迦仏入滅の後は永
く仏法を守護した。
3. 娑伽羅(サーガラ、しゃがら - सागर Sāgara)
訳:大海。龍宮の王。大海龍王。「沙掲羅」、「沙羯羅」などとも漢語に音訳された。法華
経・提婆達多品に登場する八歳の龍女はこの龍王の第三王女で「善女(如)龍王」と呼ば
れた。空海が新しく名付けることとなった清瀧権現も唐からついて来たこの娑伽羅龍王
の同じ娘の事である。
4. 和修吉(ヴァースキ、わしゅきつ - वासुकि Vāsuki)
「婆素鶏(ばすけい)」とも漢語に音訳された。サンスクリット語 वासुकि Vāsukiの意味は、
「宝 (खजाना Khajānā)」とほとんど同じである[要出典]。よって、「宝有(ほうゆう)」、「宝称(ほ
うしょう)」とも別称された。陽の極まりである「九」、数が極めて大きく強力であるとい
う意で「九」を冠し九頭とされることもあった。よって「九頭龍王(くずりゅうおう)」、「九
頭龍大神」等 呼ばれることが日本では多く、九頭一身と言われ考えられるようになっ
た。元の伝説では千あることから「多頭龍王(たとうりゅうおう)」と呼ばれることも稀に
あった。もともとは、須弥山を守り細龍を取って食していたという。
5. 徳叉迦(タクシャカ、とくしゃか - तक्षक Takṣaka)
訳:多舌、視毒。この龍が怒って凝視された時、その人は息絶えるといわれる。身延鏡と
金光明経から七面天女は、タクシャカ龍王の娘とされている。
6. 阿那婆達多
(アナヴァタプタ、あなばだった - अनवतप्त Anavatapta)
訳:清涼、無熱悩。阿耨達(あのくだつ)龍王ともいう。ヒマラヤの北にあるという神話上
の池、阿耨達池(無熱悩池)に住し、四方に大河を出して人間の住む大陸 閻浮提(えんぶ
だい、贍部洲 せんぶしゅう)を潤すと謳われた。800里にも及ぶ池の岸辺は金・銀などの
四宝よりなっていたという。龍王は菩薩の化身として尊崇せられた。
7. 摩那斯(マナスヴィン、まなし -मनस्विन Manasvin)
訳:大身、大力。阿修羅が海水をもって喜見城を侵したとき、身を踊らせて海水を押し戻
したという。
8. 優鉢羅(ウッパラカ、うはつら - Utpalaka)
訳:青蓮華(Utpala)、黛色蓮華池。青蓮華龍王。青蓮華を生ずる池に住まうという。インド
では花弁や葉などの形状を比喩的に眼を現すことに用いるが、特に青睡蓮(nilotpala)は
美しい眼に喩えられる。仏教では仏陀の眼は紺青色(nila)とされ、三十二相八十種好の一
つ「眼色如紺青相」となっている。「青蓮華」は、漢訳仏典で「優鉢華(ウハツケ)」、「優鉢羅
華」などと音写される。中国で「青蓮宇(qinglianyu)(セイレンウ)」は仏教寺院の別称。ま
た、仏教で「ウッパラ」といえば、「ウッパラヴァンナー」の故事が著名である。

1. 難陀(ナンダ、なんだ - आनंद Ānanda)

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2. 跋難陀(ウパナンダ、ばつなんだ - उपनन्द Upananda)

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3. 娑伽羅(サーガラ、しゃがら - सागर Sāgara)

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4. 和修吉(ヴァースキ、わしゅきつ - वासुकि Vāsuki)

仏画

5. 徳叉迦
(タクシャカ、とくしゃか - तक्षक Takṣaka)

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6. 阿那婆達多(アナヴァタプタ、あなばだった - अनवतप्त Anavatapta)

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7. 摩那斯(マナスヴィン、まなし -मनस्विन Manasvin)

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8. 優鉢羅(ウッパラカ、うはつら - Utpalaka)

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