仏画コラム
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31,虚空蔵菩薩・求聞持法本尊・五大虚空蔵曼荼羅

S-183 虚空蔵菩薩

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S-179 求聞持虚空蔵菩薩

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L-66 五大虚空蔵曼荼羅

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虚空蔵院 虚空蔵菩薩

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虚空蔵菩薩は、十三仏の中の最後の菩薩であります。虚空蔵の名に就いては大日経
疏には、虚空の破壊すべからず、一切能く勝つもの無きが如くなるが故に虚空蔵と
名ずく、また蔵とは人、大宝蔵あり、所欲の者を施し、自在にこれを取り、貧乏を
受けざるが如く、如来虚空蔵もまたまた是の如く、一切衆生を利楽すること、みな
中より無量の法宝を出だし、自在に受用して窮竭なし、故に虚空蔵となずく、と申
してあります。この虚空蔵菩薩は福徳と智慧の二行を兼ねたるお方で、福徳の宝財
のことは、前の名の説明に依つて充分に知ることが出来ますが智慧の方面はこの虚
空蔵菩薩を本尊として聡明を求める法として虚空蔵求聞持法というのがあります。
弘法大師もこの法の修行を積まれたということは、その伝記に詳しく出ておりま
す。御誓願「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなん。」
真言密教では、虚空にこそすべてのものが収められており、虚空蔵、虚空庫菩薩が
いると述べています。求聞持法、密教では物質の構成要素として地・水・火・風の
物質性を考え、そこに重々無尽(融通無碍)に浸透している虚空(空・気)を考えま
した。(五大)弘法大師は、その虚空の空間に入ると「五大に響きあり、十界に言
語を具す」(物質と精神には、響きがあつて、それぞれに言葉を用意している。)
声字実相義と述べています。
また、この虚空蔵菩薩の功徳を五方に分けて、五大虚空蔵菩薩という説もありま
す。則ち東方に、福智虚空蔵菩薩、南方に、能満虚空蔵菩薩、西方に、施願虚空蔵
菩薩、北方に、無垢虚空蔵菩薩、、中央に、解脱虚空蔵菩薩、と伝えてこれにも深
い道理が説明されておりますその真言、 「のうぼう あきゃしゃ ぎゃらばや
おん ありきゃ まりぼり そわか」
大悲胎蔵曼荼羅の虚空蔵院には虚空蔵菩薩は中央にあり、左右上段は十波羅蜜菩
薩、下段は本来の虚空蔵系の諸尊に囲まれています。その図像は五仏の宝冠を戴
き、左手の蓮上に宝珠を掲げ、右手に剣を持つ像で、特定の所依経典を見いだすこ
とが出来ない為、「現図」阿闍梨の意楽像とみなされます。虚空蔵菩薩の五仏宝冠
は、大日如来の五仏宝冠に応じ、右手の剣は、文殊師利菩薩の智慧の鋭さを、左手
の蓮上の如意宝珠は、除蓋障菩薩の如意宝珠とも相通じ、般若菩薩の六波羅蜜が、
十波羅蜜となつて展開するなど、胎蔵曼荼羅の諸徳が、この院の中尊である虚空蔵
菩薩に、成就結実しています。

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