仏画コラム
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18,弥勒曼荼羅

P-97 弥勒曼荼羅

仏画

白描図

仏画

弥勒曼荼羅は、現在は兜率天に居るが釈迦入滅後56億7千万年の後に娑婆世界に下生して
衆生を救済すると説かれる弥勒菩薩を中心とした曼荼羅で弥勒法の本尊である。弥勒菩薩は
弥勒慈尊とも慈氏菩薩とも言われる。その真言は自分の名前を直ちに真言としたもので梅坦
梨耶は慈氏と言ひ慈氏は弥勒の名前であります。
真言・唵(帰命)梅坦梨耶(慈氏)阿(種字)莎訶(成就)。   
   おん、  まいたりや、  あ、   そわか。
白描図は「曼荼羅宗」「別尊雑記」「覚禪鈔」などに収められ曼荼羅宗の弥勒曼荼羅は善無
畏訳の「慈氏菩薩略修瑜伽念誦法」に基づいたものでにその巻上「入法界五大観門品第
一」と巻下「画像品第五」に説かれる部分は大円明の内に更に五円明があり、四隅には四半
月輪が有り八宝塔(五輪塔)、四金剛輪、四金剛杵をもつて界道とする。その中央の円明に
は本尊 慈氏菩薩(弥勒)が居る。次に四面には智波羅蜜多菩薩、四隅には四内供養等の菩
薩、その円明の外辺には智火の光焔を旋らして空より降る。その聖者等は皆、五智如来冠を
戴いて各々本印契をとつて半跏に座している。本尊の右の円明の中において事業波羅蜜多菩
薩、左の円明の中に七宝波羅蜜多菩薩、下の円明の中に法波羅蜜多菩薩、後ろの円明の中
に金剛波羅蜜多菩薩、東北の隅の半月の中に華波羅蜜多菩薩、東南の隅の半月の中に燈波
羅蜜多菩薩、西南の隅の半月の中に塗香波羅蜜多菩薩、西北の隅の半月の中に焼香波羅蜜多
菩薩を描く、下の右辺に降三世明王、左辺に不動尊を描く降三世明王の下に瑜伽を修する者
を置く、大円明の上に七宝の傘蓋を両辺に斯く各各首陀会童子を描く。空海は、天長9年
(832)11月12日から五穀を口にするのをやめ、坐禅(念誦法)三昧に入ると弟子た
ちに言つてからは、ずつと弥勒菩薩の尊像の前に結跏趺坐し「慈氏念誦法」に明け暮れる日々
であつたかと思われる。この慈氏菩薩への信仰は空海の若き頃より、南都六宗寺院、元興
寺、大安寺、薬師寺、興福寺、東大寺、唐招提寺などで、盛んにあつた、未来世救済の仏
としての信仰のほかに、南都の法相宗では第一祖を弥勒菩薩とするからである。又、空海の
母方の阿刀氏の関係で、義淵-玄昉―善珠―空海との流れが深く関係していると思われます。
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