仏画コラム
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16,五輪塔図 梵文 宝篋印陀羅尼経

P-3 1.3×3.0尺丈

仏画

 

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五輪塔とは・・・五輪塔の形は仏教で説く万物の構成要素である地・水・火・風・空の五大
を形どつたもので真言密教の中から生まれたものとされ、それは人間も死ねば、森羅万象
(宇宙に存在するすべてのもの)、大日如来とおなじ、地・水・火・風・空の五大に帰一さ
れるべきものと言う考え方によるものと言われています。この考え方は真言宗の中興の祖と
言われた覚鑁上人で、高野山金剛峯寺の座主にまでなつたことが有りますが元は高野聖だつ
た事が、思想と行動に大きな影響を与えたと言われています。五輪塔に死後の即身成仏の意
味を込めて五輪塔が生まれる原理・理論となつた「五輪九字明秘密釈」を伝えました。この
中の五輪塔図がこの塔の原型になつたと言われています。五輪塔とは密教の即身成仏を完成
した姿で、三密(身密・口密・意密)を実践している姿であり、日本人のお墓の意味、考え
方、建墓の仕方、供養など五輪塔と言うお墓を通じて高野聖達が全国に広め、これが、お墓
の基準となつたと考えられます。
五輪塔婆とは・・・密教哲理から観れば、宇宙法界五大所成でその生物たると無生物たると
を問わず、在りとし在るものは皆悉く五大ならざるはなく、その五大の標識にこの梵字が使
われます。五大を形で表現すれば五輪となり、宇宙法界は五輪の大塔とみて五大を我が体の
上に観想せしめ五大と五臓との交渉に依つて大日経秘密曼荼羅品の初めに説かれる入我我入
(さとばん)の行法に五輪厳身の観想(宇宙観・通観)としてこの梵字が順・逆と廻転、即
身を宇宙に拡大させます。五大は悉く如来の三昧耶身となり五輪は法界身となつて五輪の意
味ものちに転化し一切功徳を円満具足していることを示唆してこの五輪法界身を五輪法界
塔、一般に用いられる五輪塔婆は法界塔の標識でそのままが法界身となります。密教の世界
観としては五大に識を加えて六大とし、その六大が密教の宗体です。
梵文 宝篋印陀羅尼経・・・五輪塔中の梵文陀羅尼は「一切如来心秘密全身舎利宝篋印陀羅
尼経」で一切の如来の奥深いさとりの神髄と、全身舎利の功徳を集積した篋と言う陀羅尼の
経と言う事で一番優れている教えを凝縮させて含んでいる言葉で梵字音写のまま唱えます。
本経は平安初期に空海が請來されました。釈迦牟尼世尊が説かれた宝篋印陀羅尼経は五濁の
悪世に生まれ依る所なく頼む所なき衆生を憐れむ故でありこの深法の法要(神髄)は久しく
世間に住し衆生を利益し安穏快楽ならしむること広大無辺であろうと説いています。

東寺・元禄本・両部曼荼羅・本金襴表装・3.3尺×3.6尺丈

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