A-42 3,0尺巾×4,3尺丈 東寺本 弘法大師御影 寛平法皇「日日影向文」
「居を高野の樹下にトして、神を兜率の雲上に遊ばしむ」
「日日の影向を闕かさずして、処々の遺跡を検知す」
後の二句は「日日影向文」(にちにちようごうのもん)として高野山大門の注聯に左右に分
けて掲げられています。寛治年間(1087~1094)に東寺の僧、勝実が善通寺において感得し
たという「御筆の一筆」とされ弘法大師が書かれたと信じられています.興教大師もその著
作である「弘法大師講式」において「大師自ら記して日く」としてこの前後四句をそのまま
引用しています。弘法大師の「御遺告」の一文も直接引用されています。句の意味は、弘法
大師は住まいを高野山奥之院の樹下に選び定め、心は弥勒菩薩が住む兜率天に赴いているけ
れども、毎日姿を現して、ご縁のある各地に出向いて行かれ衆生の救済に力を注がれている
という内容です。
東寺本の本御影は、上部に59代宇多天皇(寛平法皇)が墨書にて「日日影向文」を執筆さ
れ、御影は六角堂、能満院の大願筆の白描図が残されており、それに基ずき彩色を施した仏
画であり、東寺の御影の中でも一番東寺とゆかりがある御影であります。平成五年,2023年
度は、東寺が、弘法大師によって立教開宗されて1200年という節目の記念の年であり、10
月8日~14日まで【真言宗立教開宗千二百年慶讃大法会】が執り行われます。それを記念
して東寺真言宗宗務庁では、この御影を吉村総長様が慶讃大法会記念事業企画品として企画
されました。それは、弘法大師の大師号に寛平法皇が深く関与された事が関係しています。
制作仏画 大進美術株式会社