仏画コラム
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15-2 一切如来心秘密全身舎利宝篋印陀羅尼経
世尊がこの神呪(宝篋印陀羅尼経)を説き己給うと、一切の諸仏如来は地中より讃嘆の
声を発した。「善哉・善哉、釈迦牟尼世尊が今この宝篋印陀羅尼の深法を説きたもうた
のは、五濁の悪世に生まれ、依る所なく頼む所なき衆生を憐れむ故である。この深法の
法要(神髄)は久しく世間に住し衆生を利益し安穏快楽ならしむること広大無辺であろ
う」その時仏(釈迦牟尼世尊)は金剛手菩薩及び大衆に向かいて告げ給う汝らよ諦か
に聞きなさいこの宝篋印陀羅尼の深法は神力極まりなく、利益は無辺なり。譬えば幡の
上なる如意宝珠が常に高貴な宝を降りゆらかして、行者の一切の願を満たすが如くであ
ろう。我(世尊)、今略してその霊験の万分の一を説きましょう。汝ら、宣しく億・持
ちて世のすべてのひとびとを利益するがよい。若し末法の世の悪人が死してやがて地獄
へ堕ち苦を受くる時にこの悪人の子孫達が亡者の名を称えてこの宝篋印陀羅尼の経を僅
か七遍誦するに至らば亡者の沈む熱鉄の地獄は忽ち変じ八つの功徳の池となる。その亡
者は如来の神力により即座に極楽世界に上生することであろう。又、百病の身なる衆生
あつて苦痛心魂に迫るとき、この宝篋印陀羅尼の深法を二十一遍誦するならば百病苦悩
は一時に消滅し寿命延長し福徳は尽きることは無いのである。又は衆生あつて前世が慳
貪やりし故,現世にて貧窮な家に生まれ、身を隠し包む衣もなく、命をつなぐ食にも事
欠き、瘦せ衰え世の人々に嫌われ、賎しめられている衆生が自分の身の宿業を深く懺悔
して深山に入りて主なき山の花を折り,朽木を粉にして焼香に代えこの宝篋印塔の前に
来て礼拝供養し,塔を七編巡り涙を流し懺悔するならば、七宝は雨のごとく降り注ぎ貧
窮は瞬時に消滅し乃ち富貴に至る。つまり富貴財福の衆生と成るであろう。だが富貴財
福を得た衆生は次のことをしつかりと心に銘記しなければならない。貧窮を消滅し富貴
な身分を得た衆生は一切如来のご加護に恵まれた衆生であるが故に、今後は益々三宝に
供養し一切如来から仰せつかつた貧人に施しを与える役務を実行する事である。だが然
らずその天命を自我のみに心が没頭し惜しみ蓄える衆生は、その財宝は瞬時に滅する事
になる。よく心に銘記する事である。衆生あつて善根を植える目的でその身分に随い石
や泥や瓦の類であつても、自力の及ぶ程度に応じて譬えば、しいては高き梅の実三十三
寸にもせよ如法宝篋印塔を作り、神呪陀羅尼経を書写し塔中に安置し礼拝恭敬するなら
ばその呪力と信心の故その宝塔の中よりして大香気雲の如き光明を放ちて法界に周遍す
ることであろう。その馥郁として現世も光輝く事になるのである。結果仏事円成の功徳
としてその衆生の願いはすべて叶い満たされることであろう。又野鳥や走獣や虫類など
諸所の生類が来りてそれが少時にてもこの宝塔の影を受けたならば更にこの宝塔の周り
の道場の草土を踏むならばそれら有情の者は勝縁に恵まれて罪業悉く消滅し有情の求め
る意に随い現世は安穏を後世では極楽の浄土に往生するであろう。我が滅後に仏法を学
び行を実践し慈悲心を生じ苦界の有情を救わんがため至心に発願する弟子あつて此の宝
塔の前にて香華を以つて供養し宝篋印陀羅尼を念誦せば文々句々に光明を放ち現世と来
世の二途を照らすことであろう故に苦具・皆微塵に砕けて措置ただちに苦患を免れ仏種
の芽を生じることであろう。その衆生は果報の意に従いて十方の浄土に往生するであろ
う。衆生ありて高山の峰に登り四方を願望しつつ宝篋印陀羅尼を誦せばその衆生の眼力
が及ぶ遠近の世界つまり山谷林野、江湖公海の中に生くるもの鳥類、畜類、魚類、甲
類、微細の菌類、諸々の生類皆断心に惑障を歳破し無明を覚悟し本有の仏性を顕現する
であろう。つまりそれぞれの意によりて大涅槃のうちに安所することであろう。最後に
仏は金剛菩薩に告ぐ、「今この秘密の神呪、宝篋印陀羅尼を汝等一同に附嘱する。厳か
に尊重し護持し世間に流布し後代末法の世の衆生に伝えて必ず断絶せしむることなか
れ」金剛菩薩、仏に申し上げる。我今、世尊の附嘱を確かに蒙りました。大きな光栄で
御座います。唯我願うは世尊の深重の恩徳に報い奉らんが為此の尊い宝篋印陀羅尼を昼
夜に護持し一切世間に広宣流布する事を誓い奉ります。若し末法の世の衆生がこの宝篋
印陀羅尼を書写し護持し億念して絶えざるならば帝釈天、梵天は四天王・龍神・八部衆
を指揮し昼夜にその衆生を守護し暫くも捨離することはございませぬ爾時、その時世尊
はこの宝篋印陀羅尼を説いて広く仏事を作し給われました。その後大善利、妙光の家に
往き諸々の供養を受けました。爾時、大福利を獲た天・大集・比丘・比丘尼・天龍叉・
人非人等、皆大歓喜でありました。彼らみなこの宝篋印塔、宝篋印陀羅尼を信受し奉る
ことを固く決意致しました。そののち世尊は大本の住所に還り給われました。・・・・
一切如来心秘密全身舎利宝篋印陀羅尼経。

宝筐印陀羅尼

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