平成7年4月21日/126年ぶり4回目の修復完成
室生寺本の真言八祖像は鎌倉時代の延慶元年(1308)に室生寺の灌頂堂が整備され曼荼羅や密
教法具なども制作された折に描かれたとする真言八祖像で図像は東寺本の真言八祖像(国
宝)にほぼ忠実であり両寺の密接な関係が想像される。現存する東寺本が制作された弘仁十
二年(821)からすでに1197年経過している。よつて肉眼では尊像が、はつきりと見えない状
態であり、他方室生寺本の真言八祖像はすでに710年経過しているが肉眼で尊像及び飛白体
も鮮明に,はつきりと読み取れる貴重な仏画である。修復にあたり、密教図像学会会長であ
つた京都芸術大学の田村隆照先生(故人)にご指導を賜りました。奈良県教育委員会文化財
保護課のアドバイスを受けて大進美術株式会社にて修復、完成にいたりました。各祖の画寸
は、縦約178㎝x横125㎝で、表装裂地は法輪と羯磨紋様の裂地にて本金襴にて別織新調致
しました。
龍猛像と空海像の裏書に墨書があり、
八祖像制作・・・延慶元年(1308)年
1回目修復・・・明暦年間(1655~58)年
2回目修復・・・享保17年(1732)年
3回目修復・・・明治2年(1869)年
今回4回目修復・・・平成7年(1995)年~126年ぶり4回目の修復でありました。
室生寺では毎年8月8日の虫干しの日に、真言八祖像、曼荼羅図など約200点の宝物を
一般に無料公開されています。修復完成を記念して 網代智等管長猊下 よりご染筆の墨蹟
を賜りました。管長猊下には掛軸の完成度に大変喜んで頂き、その額装は、現在も大進美術
株式会社の1階の欄間に掲げてあります。